2017年04月12日

No.79 またまた佐々木ベジ氏がTOB価格を引き上げ

本日4月12日(水)、佐々木ベジ氏がソレキアに対するTOB価格を4,500円から5,300円に引き上げました。富士通がTOB価格を4,000円から5,000円に引き上げたのは4月5日(水)です。だいたい2営業日後くらいにいつも引き上げていたのですが、今回は少し遅かったですね。今回は新たな残高証明を添付しないとTOB価格の引き上げはできなかったので、多少時間がかかったのかもしれませんね。では、現在の富士通と佐々木ベジ氏の条件を比較してみます。変更箇所には色をつけています。

 佐々木ベジ氏のTOB価格は富士通が提示している価格を300円上回っていますから、現時点では佐々木ベジ氏のTOBに応募が集まると考えられます。今回、佐々木ベジ氏は新たな残高証明を添付しました(次頁のとおり)。当初の公開買付届出書に添付されていた残高証明は約17億円でしたが、今回は約21億円です。佐々木ベジ氏がTOBで買い付ける株数は364,700株ですから、単純に準備した資金を買付予定株数で割ると、1株当たり5,870円です。買付手数料などを考慮すると、実際に提示できる価格はもう少し安くなります。佐々木ベジ氏は今回の新たな残高証明の添付により、富士通に対して「私はTOB価格を5,800円程度まで引き上げられるぞ!」と意思表示したとも捉えることができます。

※この手書きのメモがちょっと気になります。

今回、マーケットはどういう反応をするでしょうか?おそらく、「富士通がこれで引き下がるわけがないだろう。TOB価格を引き上げてくる!」と読んで、4月13日のソレキア株価はTOB価格5,300円を上回る可能性があります。

富士通は引き下がるでしょうか?おそらく引き下がれないでしょう。佐々木ベジという個人に富士通が負けた、という結果にはしたくないはずです。では、富士通はTOB価格をいくらにまで引き上げられるでしょうか?

富士通はファイナンシャルアドバイザーであるSMBC日興証券にソレキア株式の価値算定を依頼しています。DCF法による算定だと「3,281円~5,769円」です。佐々木ベジ氏が5,769円を超えるTOB価格を提示してきたらどうするでしょうか?今回の佐々木ベジ氏が添付した残高証明から計算すると5,769円を超えて提示できそうです。

もちろんソレキアから提示された事業計画をベースに算定していますし、富士通とのシナジーを加味していない数値でしょうから、更に上の価格を富士通は提示するかもしれません。しかし、2,000円に満たなかった株価の会社を3倍近い値段で買うことに対して、富士通の株主は納得するでしょうか?富士通は今年の株主総会でソレキアのホワイトナイトになった詳細について質問されるかもしれません。

 

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