2018年01月12日

No.245 今年はどんな年になるのか~その②~

 その①から時間が空きましたが、想像力と妄想力を働かせて、その②を書いてみます。その①では旧村上ファンドの動きについて書きました。その②は、エフィッシモについて、です。では、エフィッシモの投資先を見てみましょう。

 上表は8月時点での投資先一覧です。8月以降に持分が変動したのは、テーオーシーと三井金属エンジニアリング、東芝、フタバ産業などです(直近データにはいずれ変更します)。新たに大量保有報告書を提出した先はないと思います。昨年のエフィッシモは比較的、動きとしてはおとなしかったのではないでしょうか?ただ、おとなしかったと言ってもやることはやっています。何と言っても、東芝への投資のインパクトは大きかったのではないでしょうか?2017年3月に東芝株の大量保有報告書を提出した時は、日経も大きく取り扱いました。コラムでも取り上げました(コラムNo.73)。当時はなぜエフィッシモが東芝に目をつけたのかはよくわかりませんでしたし、何よりもエフィッシモ自体が東芝の第三者割当増資を引き受けるなど、考えてもいませんでした。そう考えると、東芝の第三者割当増資のアレンジをしたゴールドマンサックスはあっぱれです。

 さて、東芝の第三者割当増資を引き受け、東芝の苦境を救ったエフィッシモは「短期的利益を追求するアクティビスト」と言い切れるでしょうか?僕は、ちょっと難しくなってきたなあという印象を持っています。エフィッシモは村上ファンド出身者が立ち上げたファンドですが、村上さんではありません。彼らがインサイダー取引をした訳ではありません。エフィッシモが皆さんの株式を取得し「面談したい」と言ってきても、「あんたがたは村上ファンド出身だから会わない」とは言えないのではないでしょうか?村上さんだったら「お断りします」で通じると思うのですが、エフィッシモだと厳しいような気がします。

 エフィッシモに株式を取得されたから買収防衛策を導入しよう!(表立って言う訳ではありませんが) 通用しますかね?「苦境に陥った東芝の第三者割当増資を引き受けた立派な投資家じゃないか!そんな相手に株式を取得されたから防衛策を導入するなんておかしい!」と機関投資家は言いませんかね?パッと見、「あんな投資家に株式を取得されてしまったのだから、買収防衛策を導入するのは当たり前だろう」という人相の悪い投資家って、実はもういないんじゃないでしょうか?皆さん、少なくとも、お化粧をして人相が悪いのを隠しています。エフィッシモであれば、買収防衛策を導入することも世の中は認めてくれるのではないか?甘いような気がします。

 エフィッシモは今年、どう動くでしょうか?東芝の第三者割当増資を引き受けたから、しばらくはおとなしくしているでしょうか?彼らに出資する人たちはどんな人たちになったのでしょうか?立派な人たちも出資者になっているのかもしれません。そんなエフィッシモを「よからぬアクティビスト」と呼ぶ人はいないかもしれません。少なくとも、国内外の機関投資家は呼ばないでしょう。日本の事業会社だけだと思います。

今年、エフィッシモがどう動くかは正直わかりませんが、エフィッシモに限らずこのような百戦錬磨のアクティビスト達が日本企業に狙いを定めたのは確かだと思います。

 

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