2017年07月04日

No.122 フリージア・マクロス、佐々木ベジ氏からソレキア株を取得 持ち分法適用会社へ

 佐々木ベジ氏が会長をつとめるフリージア・マクロスは佐々木ベジ氏が保有するソレキア株式の一部を取得し、ソレキアを持分法適用会社にするそうです。フリージア・マクロスが公表したプレスリリースを一部抜粋しますが、なかなかおもしろいです。しかし、佐々木氏は個人でTOBを実施する理由を「個人でリスクをとった意思・意見であるほうが責任感のある内容として伝わるから」などと言っていたのに、フリージア・マクロスにソレキア株式を譲渡するなどと、いったいどうなっているのでしょうか。

http://www.freesiamacross-extruder.com/jp/pdf/notification/20170629.pdf

 フリージア・マクロスから佐々木ベジ氏に対して「ソレキア株式を売却してくれるように働きかけてまいりました」「20%を取得するために必要なソレキア株式の交渉を佐々木ベジ氏と粘り強く行い」だそうです。一言申し上げるとすれば、「ホンマかいな?出来レースやろ?」です。最初から決まっていたのではないかと疑ってしまいます。

 繰り返しになりますが、ソレキアは買収防衛策を導入していなかったため、金商法で定められた1回の質問権しか行使できず、十分な情報を得られたとは言い難い状況でした。もし買収防衛策を導入していれば、佐々木ベジ氏が株式を取得した後の方針などを粘り強く確認できたのではないでしょうか?佐々木ベジ氏が個人でTOBを実施すると言いつつ、実はフリージア・マクロスが買うことになっていたということであれば、話はまた変わってきます。フリージア・マクロスにもソレキアの経営に関与するつもりがあるのかどうかなどを確認する必要がありました。フリージア・マクロスとソレキアとのシナジーだって確認する必要がありました。でも、買収防衛策がなかったので、こういうことを確認できませんでした。

 これで佐々木ベジ氏はソレキア買収にかかった資金の一部を回収できたということになりますね。取引は2回に分かれているようで、1回目の取引は1株当たり4,200円で26,500株、2回目の取引は1株当たり5,650円で118,400株、総額で780百万円です。

 結局、佐々木ベジ個人ではなく、フリージア・マクロスという上場会社をも巻き込んだTOBだったということですね。こういうやり方を見ていると、どうしても「胡散臭い」という印象が拭えませんねえ。個人でリスクをとってTOBをするんだ!と言っておきながら、自分が会長をつとめる会社に株式を売りつけて現金化する訳ですから(という風に見えるということです)。言ってることがコロッと変わるのですから信用できません。やっぱりまともな敵対的TOBが成功するのはまだまだ時間がかかるということでしょうか。

 買収防衛策があれば、もし佐々木ベジ氏にTOB提案をされていたとしても、まだ質問と回答のやり取りが終わっていないでしょう。そのやり取りに対して世論や投資家、ISSは「時間をかけ過ぎである」と批判するでしょう。しかし、佐々木ベジというよくわからない個人が仕掛けてきた敵対的TOBに対して、たかだか半年に満たない時間をかけて内容を分析・精査することが時間をかけ過ぎと言えるのでしょうか?上場している以上、敵対的TOBを仕掛けられるリスクはどの会社も抱えています。しかし、相手が上場会社ならまだしも、よくわからない個人やファンドの場合、やはり時間をかけて調べる必要があるでしょう。もしその個人やファンドが反社会的勢力とつながっていたりしたら(具体的な誰かを想定して申し上げている訳ではありません)?そのような集団の食い物にされないためにも、防衛手段を整えておく必要があると言えます。なお、佐々木氏は公開買付届出書において、TOB成立後の株式の追加取得の予定について以下のとおり示していました。

佐々木ベジは「本公開買付けによって買付予定の上限まで取得できなかった場合でも、現時点では、ソレキア株式を追加的に取得する予定はありません」と言っていました。佐々木氏はTOB終了の翌日から市場でソレキア株式を取得しています。経営陣とまだ対話も議論もしてないですよね?もうやりたい放題ですね。こういった行為が信頼されない原因です。総会でいまどき「異議なし!」とか大声で言う人なんて、どうかしていると思います。いつの時代のことやら・・・

でもソレキアはもう何も言えません。言いたくても言えないのです。なぜなら、ほぼ過半数の株式を握られてしまったからです。言いたいことを言おうもんなら、クビが飛びます。しかし、腹を据えればまだ取れる施策は残っています。出光興産のような施策は取れません。取ってもムダです。もっともっと腹を据える必要がありますが。

 

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