2022年09月27日

No.1397 じゃあセントラル硝子はどうしておけばよかったのか?

まず平時型買収防衛策をやめるべきではなかったことは確実です。でも「あの株主構成で継続するのはムリだったのでは?」と指摘されるかもしれません。難しかったかもしれませんが、昨日のコラムのとおり、なにも株主名簿が確定する前の3月に廃止を公表する必要はなかったのでは?この時点で村上さんは「オレの勝ち」って思ったでしょう。だって買収防衛策を導入している会社の株を買ったら、廃止したんですから。戦う覚悟なし、と見なしたでしょう。

シルチェスターと旧村上ファンドあわせて15%くらい持たれてしまったので非常に難しい状況ではありましたが、少なくとも買収防衛策継続に向けた努力をまずはすべきだったのではないでしょうか?機関投資家を説得し、個人株主にも賛成してもらえるよう行動する。最大限の努力をしてでも「否決される」となった時点で「議案を撤回します」でもよかったのでは?もしくは取締役会決議で継続してしまうのも1つの手だったのではないかと思います。「それ、ジャフコが取締役会決議で有事型を導入したから言ってるんでしょ?あのときに言えた?後だしじゃん」と言われるかもしれませんが、私は当時から「株主総会決議が難しければ取締役会決議で継続・導入してしまえ」と言ってました。ほかにも案を考えていましたよ。

https://ib-consulting.jp/column/734/

まあ、百歩譲って平時型買収防衛策の工夫ができなかったとしても、2020年1月に東芝機械が旧村上ファンドに対して有事型で対抗することを公表し、3月下旬の臨時株主総会で発動議案を可決させました。同じことをやればよかっただけでは?これが本当に信じられない。セントラル硝子はずいぶんと前に旧村上ファンドに大量保有報告書を提出されており、ある意味、けっこう時間はあったんですよ。だから有事型を研究する時間もあったし、そもそも平時型を導入していた会社ですから買収防衛策に関する知識はあったはずです。「有事型ってなんや?」という会社ではないんですよ。以下、保有割合の推移です。私のコメント、妄想も入っています。

2018年

7月6日              大量保有報告書提出 保有割合5.04%

2019年

3月25日            セントラル硝子が買収防衛策廃止を公表

⇒そもそも廃止すべきではなかった。株主構成上、否決される可能性が高いとはいえ、廃止を決断するのはこのタイミングではない。せめて株主名簿を確認し、廃止するとしても5月中旬まで待つべきだった。

4月6日              6.13%

5月13日            6.15%

7月17日            7.19%

8月22日            8.24%

⇒セントラル硝子は2022年5月に100億円の自社株買いを公表したが、やるんだったらこのくらいの保有割合のときに実施すべきだった。なぜやらなかったのかと言えば「旧村上ファンドが売るかもしれないのに自社株買いなんてやったらもったいない」と考えたから。そして「自社株買いをやるということは旧村上ファンドに負けたということ。世間的にみっともない。社長であるオレの評判が悪くなる」というわけのわからんプライド。

2020年

3月6日              9.27%

⇒このあたりで東芝機械が有事型の発動を成功させたのだから、セントラル硝子も当然有事型の準備をここからしておくべきだったし、結果論だが、旧村上ファンドの保有割合が15%を超えたのは2021年6月なのだから十分時間はあった。この時点で「平時型を廃止してしまったけど、それは東芝機械も同じ。その東芝機械が有事型で対抗したのだからうちもいざとなったら有事型で対抗する。そのトリガーは、旧村上ファンドの保有割合が15%を超えたら!」と決めておけばよかったんですよ。

5月20日            10.28%

9月8日              11.31%

10月23日          12.35%

11月9日            13.04%

2021年

2月19日            14.05%

6月17日            14.92%

6月24日            15.08%

⇒この時点で有事型を導入すべきだった。

10月19日          16.09%

12月24日          17.12%

2022年

3月11日            18.24%

4月15日            19.28%

5月27日            25.35%

6月29日            26.42%

7月26日            27.44%(議決権割合29.22%)

もしかしてアドバイザーに「買収防衛策は株価の重しになるからやめたほうがいい。株価が上がらず、旧村上ファンドが出て行きにくくなる」ってなことを言われましたか?平時型をやめたのはまだわかるとしても、なんで有事型で対抗しなかったのかねえ・・・。これは本当に理解に苦しむ。もちろんセントラル硝子だけじゃないんですけどね。ほかにもたくさん自己株TOBをやった会社はありますから。

セントラル硝子には対抗策を考える時間は十分にありました。平時型をやめたのはある意味仕方がないにしても、有事型というお手本を東芝機械が見せてくれたし、検討する時間もあった。でもやらなかった。それは経営陣の違いでしょうね。

結果的に負けたとしても、平時型を継続したり、有事型を導入したりすることで、セントラル硝子の経営陣は徹底的に旧村上ファンドと戦う姿勢を見せたほうがよかったと思いますよ。もちろんセントラル硝子の経営陣もまったくなにもしなかったわけではなく、言い分があるのはわかります。でも外から見る限り、なにもしていないように見えるのです。旧村上ファンドに言われるがまま、500億円を投じたように見えてしまっており、それが大問題なのです。

セントラル硝子の社員も同じように見ていた可能性があるからです。「うちの経営陣はなんと情けない。社員にはコストカットをやかましく言うくせに、相手に強く出られると何も言えないのか?!言われるがまま500億も投じるのか?!」と見たのではないでしょうか?セントラル硝子の中長期的な競争力の源泉である社員のやる気が地に落ちたことでしょう。だから私は「社員のためにちゃんとやれ!」と言うのです。

社員を大切にしない会社に未来はありません。口だけで「大切にしている」というのは簡単です。私が言っているのは「株主還元だけをするんじゃなくて、ちゃんと給料を上げなさい」ということです。

 

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