2022年11月15日

No.1427 専門家って、簡単に倍増できるんですか?

以下、ブルームバーグの記事です。当然、専門家を育成して倍増させるのは困難ですしょうから、どっかから取ってくるんでしょうね?どこから???

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-10/RKYL7IT0AFB401

IRジャパンから取ってくるんですかね(笑) まあ、冗談はさておき(でもないんですけど)、本題に入ります。この記事、どうにも私には違和感しかないんですよ。

みずほ信託銀行は、企業に株主対応策を助言する業務を強化する。「株式戦略コンサルティング部」の人員を30人規模に倍増させる計画だ。株主提案に動くアクティビスト(物言う株主)や、スチュワードシップコード(行動指針)順守を徹底する機関投資家の増加などを受け、高まる企業側のニーズに対応する。

梅田圭社長はインタビューで、「アクティビストも含めた株主にどう対応していくか、発行体からの相談は本当に増えている」と説明。財務や税務の知識を持つ内部人材の転用や競合助言会社などからの外部採用も含め、現在15人の人員を「理想としては倍ぐらいにしたい」と述べた。

まず思ったのは「遅くない?」ということですね。アクティビストの行動が活発化したのは何も最近ではありません。もう数年前から活発化していますし、そもそもアクティビストの行動が最初に活発化したのは2000年~2008年ですが、リーマンショックがあって沈静化しました。しかし、日本におけるアクティビズムはリーマンショックのおかげで沈静化しただけであり、アクティビズムが復活することは確実だったのです。だから私は独立して2016年7月に会社を立ち上げたのです。

ちなみに、財務と税務の知識を持つ人を転用させればいいという話ではないですよ。あと、競合助言会社などからの外部採用って、あからさまにIRジャパン狙いですよね(笑) あれだけダイヤモンドオンラインでたたかれていますから、IRジャパンの社員は転職を考えている人もいらっしゃるでしょうからね。

梅田氏によると、企業からの相談件数は7月に86件(前年同月は23件)、8月は96件(同30件)と3倍以上に増加した。新たに株主となった投資家との対話方法や、株主の要求に先回りして対処する方法などを助言。株主提案や敵対的買収に至る前の「平時から株主にどういうコンタクトをするか」を中心にアドバイスしているという。

相談件数ってどういうカウントなんですかね?顧客からの純粋な相談件数なのか、営業マンからの依頼を受けて訪問した件数なども含めているのか。。。なんかあいまいですね。「新たに株主となった投資家との対話方法」ってなんですかね(笑) 別にそんなにノウハウが必要な話ですか?「まずはアイスブレイクのために天気の話から始めましょう」ってアドバイスでもするの???「株主の要求に先回りして対処する方法」って何?先に増配なり自社株買いなりしておくってこと???そのアドバイスにどういう専門性があるのだろうか。

みずほ信託の梅田氏は、株主総会で会社側の取締役選任議案などに反対を推奨した議決権行使助言会社に追随する機関投資家が増加しているほか、アクティビストによる企業へのアプローチも、環境保護をうたうなど千差万別になってきているとも指摘。理想とする株主構成や、株主層の違いに応じた対応策の提示など助言内容にも工夫を凝らしているという。

うーん、環境保護関連の提案はほうっておけばいいのでは?たいした賛成率、とってないでしょ?まともな機関投資家は賛成しませんよ。例えば野村アセットさん。P15にあります。

https://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/vote_policy.pdf?20221101

それと「理想的な株主構成」ってどうお考えなんでしょうか?これ、非常に難しい問題です。私の答えは「安定株主比率50.1%。その他はどーでもよし」です。詳しくは以下です。

https://ib-consulting.jp/column/48/

この時点では上記コラムのような考え方をまとめましたが、現状では違いますね。国内機関投資家も買収防衛策の継続議案に反対しますから、25%程度の安定株主がいても通せません。そもそも理想とする株主構成なんてのはないんですよ。なぜ経営者が「理想的な株主構成とは何ぞや!」と考え始めたかというと、安定株主比率がドンドン低下する中、なんとか安定株主を維持したい、でも安定株主を維持したいと言うのはカッコ悪い時代になったから「最適な株主構成とは」と言い方を変えたのです。最適な株主構成とおっしゃる経営者の本音は「安定株主が減っていく中、どうやったら確保できるか?持ち合い株主以外に安定株主として期待できる株主はいないのか?」です。別にカッコ悪いことではありません。安定した経営をしたいと考えるのは経営者として当たり前のことです。この辺りは明日のコラムでまとめます。なお「社長!貴社の理想的な株主構成を考えましょう!コンサルします!」と言ってくるアドバイザーは信用しないほうがいいですよ(笑)

なおこの記事全般に関してですが、「今になって人員を増やしてどーするのかなあ」というのが私の本音です。企業防衛の仕事って、一朝一夕でできる仕事じゃないですよ。なにせ会社の生死がかかっていますから、昨日今日専門家になった人にまかせられますか?財務や税務を知っているからと言って即戦力にはなりませんし、M&Aの実務経験者であってもです。M&Aや法人ビジネスの経験者が部下や同僚にいましたが・・・まあ論評はやめておきます。

企業防衛の仕事に必要なことって何でしょうかね?企業防衛の仕事に限りませんが、私は「会社や働く社員のことを思いやる気持ち」が最も大切だと思っています。アクティビストや乗っ取り屋に狙われた会社はどういう気持ちになるか?社員の不安はいかばかりか?狙われた会社・社員はとっても不安な気持ちになります。そういう不安を取り除くためにどういうアドバイスをすればよいか?を常に考え続けることが大切だと思います。そして「こいつにまかせておいたら何とかなる」と思ってもらえることでしょうか。

がんばります。

 

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