2023年03月12日

No.1495 私が買収防衛策を導入すべきと考える理由②

長くなったので、2回に分けました。前回のコラムは以下です。

No.1494 私が買収防衛策を導入すべきと考える理由

https://ib-consulting.jp/column/4732/

このコラムの最後で以下のように書きました。

ただし、全上場会社が導入することは現実的にはムリです。既述のとおり時価総額の大きい会社は安定株主比率が低く、株主総会で議案が否決される可能性が高いからです。ですから、上場会社は置かれている状況によって企業防衛のスタイルが変わってきます。

次回はそのお話をまとめます。

全上場会社が導入したほうがよいと私は考えていますが、株主構成上、否決されるリスクがあるので導入できないというのが現実です。ですので、時価総額が大きい会社と小さい会社では守り方が大きく変わってきます。

時価総額が大きい会社については、ちょっとノウハウも絡んでくるのであまり詳しくは書けませんが、アクティビストのターゲットになってしまった場合、まあある程度要求を呑まないことには対処するのが難しいでしょうね。奇策はもちろんあります。ただ、そういった奇策を実行できる上場会社がいるのかどうか・・・。

一方、時価総額が小さい会社ですが、私は「買収防衛策はマスト」と考えます。理由は簡単です。「皆さんの会社を狙っているのはアクティビストといった高尚な呼ばれ方をする人たちではないから」です。最近話題のアクティビストって誰ですかね?オアシス、旧村上ファンド、エリオット、バリューアクト、サードポイント・・・いろいろいらっしゃいますねえ。こういう人たちって、時価総額の小さい会社を今狙っていますか?狙っていないでしょう?ある程度時価総額の大きい会社、時価総額が数千億円レベルの会社をターゲットにしていませんか?

時価総額が小さい会社はアクティビストのターゲットにはならないんですよ。小さすぎるから手間暇かけてアクティビズムをやっても儲かる額がしれています。同じ手間暇をかけるなら、たくさん儲かる時価総額のある程度大きな先を狙うのです。※もちろんアクティビストの規模にもよりけりで、狙われる場合もあります。一般論として有名なアクティビストは狙わないということで。

では時価総額が小さい会社を狙っているのは?それはアクティビストではなく「よくわからない人たち」なのです。もっと言えば、「乗っ取り屋」だったり「元仕手筋」だったり「元総会屋」だったり・・・得体のしれない、素性のしれないよくわからない人たちなんです。どこからお金が出ているのかわからん、海外の会社っぽいけど実態がよくわからん、ネット検索をするとあやしい情報がたくさんでてくる、などなど・・・。「ねえ、この人たち、やばくないか?」的な人たちです。つまり「反社会的勢力じゃないの?」と思わざるを得ないけど、「あんた、反社でしょ?」とは明確に言えない人たちです

時価総額の小さい会社はこういう人たちに狙われ、あれよあれよというまに過半数・過半数近く買われて実質支配されます。こういう人たちが「アクティビスト面」をしてやってきて、表面的にはまっとうなことを言いながら買収というか乗っ取りを仕掛けてくるので、非常に対処がやっかいなのです。乗っ取りを仕掛けられている方も「反社じゃなのか?」とは表立って言えません。みんな、確たる証拠がありませんから言えないんですよ。ホントは「あの乗っ取り屋、まともじゃないよね」とは思っているものの言えないのです。もちろん私も誰か特定の方を想定して言っているわけではありません。・・・というかこう言うしかありません。

そして規模の小さい上場会社は乗っ取られ、どうなるのでしょうか?わかりませんね。乗っ取られた後の会社には誰も興味がなく、マスコミもその後を報道しません。何をされているかわからないのです。たまーに報道されることもありますが、後の祭りでしょう。

今の世の中、アクティビストの活動に関しては肯定的です。そりゃまあそうです。株主還元をちゃんとやれっていう主張は当たり前ですから。でもアクティビストの陰に隠れて、アクティビスト面をして、でも実はアクティビストなんかではなく、実態は非常にあやしい先が規模の小さい上場会社を乗っ取ろうとする行為も横行してきます。

だからこそ、私は買収防衛策を規模の小さい会社はちゃんと導入し、あやしい先に乗っ取られないようにしておくべきだと考えるのです。自分の身を守ることができるのは自分だけです。世間の買収防衛策に対する見方は厳しいですが、世の中まっとうな買収者だけではないのです。まっとうかどうかを見極めるためにも、情報と時間を確保するための買収防衛策が必要ということです。

 

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