2017年10月20日

No.192 日立国際電気のその後

 KKR(公開買付者はHKEホールディングス合同会社)による日立国際電気に対するTOBが開始されました。TOB期間は10月12日~11月24日までの30営業日で、TOB価格は2,900円です。4月26日時点では、TOB価格を2,503円とし8月上旬からTOBを開始すると公表していました。日立製作所は応募せず、上場廃止後に行われる自己株取得に応じるそうです。※以前のコラムで「みなし配当益金不算入が取れるから?」と推測を書きましたが、ちゃんとプレスに書いていますね。失礼しました。

 株価も3,000円を超えている状況です。10月12日にはエリオットが大量保有報告書の変更報告書を提出し、保有割合が8.59%になったことがわかりました。最初に大量保有報告書を提出したのが9月11日で、その後、市場内で取得し株数を増やしています。ちなみに、エリオットの平均取得単価は2,742円です。保有株数は9,036,400株ですから、2,900円のTOBに応じれば、総額で約14億円儲かります。満足してくれますかね?何か行動を起こすでしょうか?

KKRによるTOBの成立には下限が付されています。エリオットが交渉力を強めるために、どんどん株式を買い増していくことも考えられますが、TOB成立の下限は24,815,889株ですから、相当買わないと交渉力が強まることはないでしょう。しかし、エリオット自身の影響力を実質的に強めることが難しくでも、どんどん株式を買い増し、変更報告書を提出していけば、マーケットは「エリオットの影響で、KKRがさらにTOB価格を引き上げるかもしれない」と期待し株価が上がっていくかもしれません。また「TOB価格はまだまだ安すぎる!」と声高に主張することが考えられます。マーケットが反応すれば株価はTOB価格を上回り、TOBに応募する人が少なくなると、応募状況次第でKKRはTOB価格を引き上げるかもしれません。声高に主張しなくても、変更報告書の提出自体が声高な主張と同じ意味を持つとも考えられます。現時点でエリオットは日立国際株式に247億円投資しています。たかだか14億円儲かるからと言って手を引くとも思えません。逆に、最悪の場合でもKKRは2,900円で買い取ってくれます。ということは、エリオットは1株当たり2,742円で9,036,400株保有していますから、仮に日立国際株を3,000円で買い増すとして、あと1,400万株くらい買っても平均コストは2,900円です(たぶん計算は合ってると思うのですが)。エリオットが変更報告書を提出したのは10月12日です。その後、1週間経ちましたが、新たな変更報告書は提出されていません。エリオットが提出した変更報告書を見ると、最近60日間の売買状況が掲載されています。

ページの都合上、9月20日からのデータを掲載します。10月11日に40万株買っています。10月11日はどういう日だったのでしょうか?11日の日経朝刊でTOB価格を2,503円から3,000円前後まで引き上げる模様と報じられた日です。ちなみに10月11日の日立国際電気の株価ですが、始値3,145円、高値3,155円、安値3,015円、終値3,115円でした。TOB価格が引き上げられるらしいという報道をもとに、40万株買ってきた投資家です。なお、10月12日にエリオットが提出した変更報告書ですが、報告義務発生日は10月11日でした。大量保有報告書や変更報告書は報告義務発生日から5営業日以内に提出する必要があります。本来エリオットは10月11日の5営業日後である10月18日までに提出すればよかったのですが、それを早めに提出しました。この辺りにもプレッシャーをかけようというエリオット意図が感じられますね。

14億で満足するか、それとも更に上を狙いに行くか?アクティビストのエリオットはどちらを取るでしょうか?KKRにプレッシャーをかけるのであれば、そろそろ新たな変更報告書が提出されても不思議はないですが、提出されないということはもう買い増さないのかもしれませんね。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

現在アルパイン株式を9.18%保有する香港のオアシスが、アルプス電気とアルパインの経営統合が否決されることを条件に、アルパインが1株当たり300円の配当を支払う株主提案をしています。アルパインの外国人株主比率は高く、オアシス以外にエリオット ...

続きを読む

カテゴリからコラムを探す