2024年02月16日

No.1690 平時に何をすればいいんだ?②~賢人は歴史に学ぶ~

私は常日頃から「企業防衛は、有事になったらどうするか?ではない。有事にならないように平時に何をするか?だ」と申し上げていますが、おそらく多くの会社は「何をするんだろうか?」と思っているでしょうし、「平時に何をすればいいの?」と証券会社あたりに相談したら「株価を上げるしかありませんよ!」と言われているのではないでしょうか?まあそんな当たり前のアドバイスというかアドバイスなってないことを言われても、迷宮に迷い込むだけです。

では何をするのか?簡単です。ケーススタディですよ。古今東西、有事になったらどうするか?有事にならないようにはどうするか?は他社事例を学んで研究しています。秋山真之だって観察武官として他社(他国の戦争)事例を学んでいたでしょう?(すみません。坂の上の雲を呼んだ程度なので突っ込まないでくださいね) それくらい他社事例は重要です。

ではみなさん、以下の事例の概要と問題点を言えますか?

※割と無料コラムもありますので、ぜひご覧ください。

①旧村上ファンドによるコスモエネルギーHD株取得と有事型買収防衛策の発動

2023年10月27日 No.1624 コスモの買収防衛策発動議案は可決できるか?

2023年12月03日 No.1645 岩谷産業はコスモのホワイトナイトなの???

②オアシスによるツルハへの株主提案、その後の非公開化報道とイオンによるオアシスからのツルハ株取得(交渉中)

2024年01月29日 No.1673 ツルハはイオンに有事型買収防衛策で対抗してはどうか

2024年01月30日 No.1675 もしイオンによってツルハの非公開化TOBが阻止されたら、それは機関投資家のせいだ!!!

2024年02月02日 No.1677 イオンのツルハへの株式取得提案は成功したの???

2024年02月05日 No.1678 どうする!ツルハ!今後の想定シナリオ

③ニデックによるTAKISAWAへの敵対的・同意なきTOB(その後賛同表明)

2023年09月25日 No.1606 TAKISAWAの経営判断について

④旧村上ファンドによるセントラル硝子株取得と大規模自己株TOB

2022年09月21日 No.1394 セントラル硝子は戦う覚悟を持てなかった会社

2022年09月22日 No.1395 セントラル硝子に未来はないです

2022年09月26日 No.1396 セントラル硝子はなんでこうなっちゃったの?

2022年09月27日 No.1397 じゃあセントラル硝子はどうしておけばよかったのか?2022年09月28日 No.1398 セントラル硝子がせめてやっておくべきことは?

⑤トヨタグループによる持ち合い解消

2023年10月12日 No.1614 トヨタは割と株主対策をしてきた会社に見えます

2023年12月14日 No.1653 トヨタが持ち合い解消???

 

そして「自社に同様のことが起きたらどうするか?」を考えたことがありますか?大半の会社は「・・・考えたことない」だと思いますよ。他社事例くらいはご存じかもしれませんが、その事例の正確な問題点と対処方法まで考えましたか?という話です。他社事例の紹介くらいはどこのアドバイザーもやっているでしょう。しかし重要なのは「貴社に同じことが起きたらどうするか?」「いや、起きないようにするにはどうするか?」を考えることです。そのためには各事例の正確な問題点の把握も重要です。

①のコスモのケースの問題点って何だと思いますか?筆頭株主であるアブダビの売出しによる株価下落?それも原因の1つではあります。でも売出しがあったからといって、コスモがこうなってしまった訳ではありません、途中で旧村上ファンドの狙いを見誤り、対応を間違えました。たぶん有事型買収防衛策の発動は勝てたはずですが、ポイントはそこではありません。

②はどうでしょうか?これはツルハだけを責めるものではないのですが、歴史的に対応を誤っているように見えます。それと本日2月16日になってもツルハはイオンの株式追加取得に関して何ら行動を起こしていないけど、大丈夫ですか?抵抗しないことが善ではないですよ。株主をはじめとしたステークホルダー全員の利益を考えて経営陣は行動すべきです。

③は簡単に言うと、これは経済産業省の「企業買収における行動指針」を完全に誤って捉えた行動と私は評価しています。指針があるから買収提案を断れない、などではありません。

④は「旧村上ファンドからすべて買い取ったのだからハッピーじゃないか!」という方もいるかもしれませんが、失ったものが大きすぎると私は思っています。失ったものは返ってこない。

⑤については間違えてはいけない、ということ。貴社の置かれているステージは?同じことして大丈夫?そもそもトヨタグループがこのようなことをする目的や真意は?

そこまで事例をみていますか?深堀していますか?ということです。そして他社事例を分析した結果、必要な施策を「平時に実行」して「有事にしない」ための体制を作らなくてはなりません。

平時にすべきことというのはこういうことです。そしてそのお手伝いをするのが当社です。以上、当社の営業でした。

ケーススタディというのは本当に大事なんですよ。ただし、ケーススタディをただただ舐めただけではダメです。味わうことが大切なのです。凡人は己の経験に学びますが、賢人は歴史に学ぶのです。

企業防衛の歴史を知るのは当社です。

 

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